★☆赤ちゃんとのマザレーズ☆★
母親が赤ちゃんに話しかける時、赤ちゃんは、その言葉や話しかけの音声のリズムやパターンに対応して、体の動き方に変化を示すものなのです。例えば、母親の話しかけの文章の文節などに対応して、呼吸の間に赤ちゃんはまぶたをあげたり、足を下げたりするのです。
また赤ちゃんに話しかけている時、母親の体の一部も色々動いているのです。さらには赤ちゃんが、泣き声を出すとか、喃語で語りかける時も、それに対応して母親は体のあちこちを動かすものです。
母親は言葉で、赤ちゃんに話しかけ、赤ちゃんは喃語で反応し、言葉がなければ笑いで反応し、そしてその反応の間にお互い体を動かして表現することで、コミュニケーションを行うことが出来るのです。この体の動きは、フィルムに収めて分析しなければ、わからない程、微細なものも含まれています。
このような言葉を介して母と子のやりとりの間に見られる体の動きが、言葉に引き込まれて同調する現象をエントレイメントと呼び、鳥や魚のダンスに対比される行動現象と理解されています。それは、人間が持つ、最も原始的な情報交換の手段なのです。
母と子は、お互いに音声と体動を組み合わせて、情報交換を行っているうちに、お互いに引き込まれて同調し、一つのシステムとして統合されるのです。そしてその時にこそ、お互いに言おうとすること、考えていることが通じるのです。ある意味で、情報を共有することになります。それが言語発達の第一歩であると考えられているのです。
赤ちゃん、さらに幼児が、どうしてあの複雑な構文を学ぶことが出来るのでしょうか。それにはもちろん子どもの頭の中にある程度発達した意識や概念ができなければなりません。それを、子どもは言葉に表現するのです。
言葉の十分に発達していない子どもが、たとえば「ニァー・ニァー」と言ったとしましょう。子どもは、絵本の猫を意味し、絵本を開けてと言っているのかもしれません。おもちゃの猫を取ってと言っているのかもしれません。色々な内容が、それぞれの場合に応じて、幼児の不完全な言葉の中に入っているのです。
母親は周囲の状況から、また子どもの表現のパターンから、ただちに判断することが出来るものなのです。そして、母親は自分の判断で適切な会話をし、対応するでしょう。
それによって、子どもは頭の中でつくられた文章に対応する単語を学び、文章をつくりあげていき、言語を発達させているのです。
この場合、母親はしばしば独得の文章とリズム・抑揚・ピッチで我が子に語りかけるものなのです。大人の会話で用いないような文章と語り方があって、これをマザレーズと呼びます。
それが構文の重要な点を折に触れ、それぞれの状況下で具体的に我が子に教えているのです。
言葉の発達は、単に母親の言語を真似ることのみによって行われるのではありません。その折々の状況下で母親と子どもとの間で行われる、音声だけではなく、体の動き、そして、子どもの頭脳の中につくられたものを限られた音声記号(言葉や喃語)で表現する時、母親がそれを理解して、瞬間的に反応して、言葉を組み合せた文章でフィード・バックすることによって学びとるのでしょう。その場合、話し言葉の内容ばかりでなく、リズム・抑揚・ピッチのような感性の情報も大切なのです。
<出典元URL>
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/MIRAI/cbs0120.html
*「コミュニケーションは、こうして-2」(『新・こどもは未来である』・小林登)
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