★☆父と子の絆、父子相互作用☆★
その昔、母乳が無いために、生きていけない赤ちゃんを見て、なんとかしようと考えた小児科医は、栄養学者、酪農学者などと協力して、牛のたんぱく質であること、免疫成分がほとんど無いことなどを除いては、ほぼ満点に近いミルクを、約100年程かけて作り上げることに成功したのです。
これによって、多くの赤ちゃんの命が救われるとともに、男性でも、極言すればロボットだって、赤ちゃんを育てることができるようになったのです。
さて、最近になって、母と子の絆のように、父と子の絆も同じである、父子相互作用もあるという考えがでてきました。
すなわち、なるべく早い時期からわが子にふれあわせれば、父親も相互作用によって、父性愛がめざめ、子育てにのめり込むようになるというのです。
母親の母子相互作用は妊娠中から始まり、40週も続くのです。胎動を感じて、わが子への愛情が芽生えるのはその代表でしょう。そして、分娩直後から、わが子を抱き、母乳をのませ、色々と子育てをすることで、母子相互作用は早期から長期にわたって続くので、母性愛の確立も早く強くなるのです。
ところが、父親も母親と同じように、父子相互作用を胎児期から始めれば、父親も充分に母親的になれるのです。
例えば、赤ちゃんが生まれる前からの育児相談に立ち合うとか、超音波モニターで胎児のわが子を見るとか、おなかのなかのわが子に語りかけるとか、胎動を感じるとか、分娩に立ち合うとか、分娩直後のわが子を抱くとか、積極的に育児に参加するとか。
このようにして父子相互作用を出来る限り早くから始めるのです。そうすれば、父親もかぎりなく母親的になると言うのです。
しかし、このようにすれば、父親は完全に母親的になるものでしょうか。・・・性染色体のバリヤーを越えるほど、父子相互作用が強いとは言えないのではないかと思っています。まだまだ、データ不足のように思えるのです。
また、相互作用によってできる母と子の絆と父と子の絆とは、全く同じ質のものでしょうか。父子相互作用で父と子の絆ができて、父親が子育てに夢中になることを「エングロスメント」と呼びます。「のめり込み」という意味です。私は、これに対して、母親が子育てに夢中になることを、「アブソープション」「すい込まれ」と呼びたいと思うのです。
男女の心の違い、恋愛感情での違いと同じように、私なりにそれをあらわしたいと思うからです。
しかし、それにしても、遺伝子、とくに性染色体のなかにある遺伝子によって規定される違いが、社会・文化、とくに行動をふくめての環境因子によって、性差のバリヤーを越えることができるかも知れない、あるいは相当程度できるということは、極めて重要なことです。
父親にも、母親と同じように、子育てのプログラムがあることは確かに否定できません。哺乳動物の40%の種で、雄が子育てすることが報告されています。
ラットの雄に、生まれたばかりの仔ラットを側におくと、始めはかみついたり、けとばしたりしますが、次々と生まれたばかりの仔ラットを身近におくと、この雄ラットは子育てを始めるという実験報告もあります。
ですから、人間の男性も子育てのプログラムを持っているに違いありません。しかし、女性よりもそのプログラムにスイッチを入れにくいのかも知れませんが。
<出典元URL>
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/KOSODATE/cbs0039.html
*「父親の役割――まず父子相互作用で子育てにのめり込ませよう-1」
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/KOSODATE/cbs0040.html
*「父親の役割――まず父子相互作用で子育てにのめり込ませよう-2」
(『育つ育てるふれあいの子育て 』・小林登)
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